スミモトと申します。
演劇集団ワークスのフライヤー制作を担当しています。
3月に行われる次回公演「スイッチ」も先日印刷が終わりまして、
劇団員の皆さんや配布を協力してくださるお店などを通じて、
ちらほらと皆さんのお手元に届きつつあるかと思います。
今回の公演は第30回となるのですが、
ふと気づくと20回から担当させてもらっていたので、
自分が関わるようになってからもう10年以上、11回目になるということに気づきました。
と、いうことで、ちょっとこの期間のフライヤーを振り返ってみたいと思います。
今日は第20-第23回公演の4つです。
〇第20回公演「こどもの一生」
きっかけはハラダ総裁からお声がけいただいたことだったと思います。
僕はもともと、高校で演劇は辞めてしまって
大学以降は学生演劇の外部スタッフとして
広島と備後を行ったり来たりしていたんですが、
同世代のみんなも就職して数年たち、ちょうどお声がけが減ってきた頃だったと思います。
「こどもの一生」
中島らも原作の超有名作です。
ググったらフライヤーがバンバン出てくるので焦りました。
こういった方向性の原作をあまりチョイスされてこなかった印象を勝手に持っていたので、
これはめちゃめちゃチャレンジングなことをやっているなと思いましたし、
今回をきっかけに沢山の方にワークスの舞台を見てもらいたいのだという
意気込みを感じました。
ワークスに限りませんが、
職業俳優ではない社会人で構成される劇団は
「出演する役者さんが流動的である」という大前提があり、
これがフライヤーづくりにおいて大きな制約になってきます。
ワークスはその中でも安定していて(プロ意識も絆も体調管理も最強です)
ファンの皆さんも御存知の通り、何年も続けて出演されている
役者さんも何人もいらっしゃいます。
それでも、出演者でお客さんを集めることがやりたいことではありませんので、
原則は誰かの顔を最前面に押し出してフライヤーを作るということはありません。
なので、安易に写真に頼らず、
脚本や演出の意図を紙面にちゃんと乗せるという
当たり前だが超真面目なやり方でフライヤーを作ることになります。
これまでも自分自身はそうやって作ってきたので慣れていたつもりが、
原作が超有名すぎて自分の中でも印象が強く、大変困った、、という記憶があります。
と、いうことで、台本を真面目に最初から最後まで、何回も読む。
というのがこの舞台、そしてワークスのフライヤーでちゃんとやり始めたことです。
結果として全てイラストで構成し、
今回の物語の舞台となる孤島をモチーフに、
中島らもが描く精神世界への「入院案内」としてのビジュアルを制作しました。
技術的なことはもうよく覚えていないのですが、
当時はpowerpcのmac miniをメインで使っていたので
3Dでオブジェクトを起こしたりすると
スペック的にもかなりキツかったと思います。
また、舞台中で投影する映像も制作したのですが
ここでもスペックや保存容量の限界を感じ、
アップグレードが安易なwindowsをメインで使うきっかけになったと思います。
◯第21回「僕たちの好きだった革命」
またかよ!
と思いました。
メジャー原作また来ちゃったよ。
「僕たちの好きだった革命」は、
かつて日本を揺るがした学生運動が、現代で蘇るとどうなるのか?
という切り口の作品です。
アジビラを彷彿とさせる力強いフォントとトラメガをモチーフに使いながら、
「現代」として取り上げられる00年代直前の流行色であった
ビビッドカラーとを重ね合わせてみました。
なお、劇中にはそれぞれの時代のカウンターカルチャーが出てきます。
そういったものをうまくモチーフとして盛り込めるともっと良かったかもと思いますが、
また再演することがあればぜひチャレンジしたいです。
◯第22回「エッグ」
今までのフライヤーの中でもダントツのお気に入りです。
物語のモチーフとなる「幻の東京オリンピック」は
1940年に開催予定だったものを指していますが、
このフライヤーでは当時話題になっていた
2020年東京オリンピックの
「一旦決まりかけたあの幻のロゴと配色」を思い浮かべながら作りました。
フライヤーの写真は、主役を務めた森壮寛さんに、
物語で出てくる架空のスポーツ「エッグ」を行っている様子を演じていただいて
その瞬間を撮影したものです。
冒頭に書いた通り、
大前提としては出演者の顔を前面に出したフライヤーは原則作りませんが、
スポーツが題材ならどうしても躍動的なポーズ、表情、アングルで表現したかったので、
無理をお願いして稽古の前後に撮影をさせてもらいました。
ユニフォームはまだ舞台用衣装が完成していないタイミングでしたので、
平面でユニフォームのデザインを(勝手ながら)裏表で起こし、
撮影当日はスポーツウェアを着用したものを合成しています。
◯第23回「おおかみのこえ」
これはかつて「ENDLESS」というタイトルだったワークスのオリジナル作品です。
エンドレスなので、モチーフもエンドレスです。
というのは安直すぎるのですが、
物語の舞台や「継承」といったテーマなど、
内容をギュッと詰め込めていて、とくにお気に入りのフライヤーの一つです。
折パンフレットのフライヤーも初めての挑戦でした。
このあたりから、物語のあらすじのみを捉えるのではなく、
観劇したあとにフライヤーを見返すとじわじわ内容と繋がってくるようなつくり、
というのを意図するようになったと思います。
ーーー
いかがだったでしょうか?
ワークスの役者陣、スタッフ陣が舞台にかける情熱には到底及びませんが、
できれば寄り添いたいなという気持ちで毎回作っております。
24回からはちょっと「エモい感じ」になってきます!
【文】スミモト
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